【テクニック編】
A.ビブラート
1.ビブラートとは
伸ばした音を上下に細かく振動させて、メロディを強調する技法。
歌の技術としてもかなり有名で、ビブラートを綺麗にかけられるだけで歌が上手いと言われたりもします。
クラシックスタイル : フレーズ中の伸ばす音すべてにかける
ポップスタイル : だいたいフレーズの終わりの伸ばす音のみにかける
2.練習方法
①音程変化
裏声「ホウオウオウ」で音程移動
②スピードを上げる
1ができたらスピードをどんどん上げていく
③単音
1〜2で行った音程変化の感覚を使って裏声「ホー」で単音で伸ばしながらビブラートをかける
④色んな声で
裏声でのビブラートができた方は、裏声以外の声(地声、ミックスボイス、ベルティングボイスなど)でもビブラートをかけれるように練習しましょう!
3.裏声の強化
上記の練習方法でビブラートができないという方は、喉の機能(柔軟性、パワー)が足りないことがほどんどです。
特にビブラートの仕組みは音程変化(揺れ)なので裏声の強化が必須となります。
逆に言うと喉の機能が高ければ自然とビブラートなどのテクニックはできるようになります。
にて裏声系のアンザッツ(4〜8)を強化しましょう!
B.フェイク
1.フェイクとは
原曲のメロディを、即興的に少し変えて歌ったり演奏すること。
メロディのない部分(間奏やアウトロなど)で自由な即興演奏を行ったり、大幅にメロディを変える場合はアドリブと呼ばれます。
2.使用例
Mariah Carey
3.メジャーペンタトニックスケール
◼︎構成音(キー : C)
ド・レ・ミ・ソ・ラ
◼︎ペンタトニックスケール内で音程移動
- 「ド・レ」「レ・ド」
- 「ド・レ・ド」
- 「ド・レ・ミ」「ミ・レ・ド」
- 「ド・レ・ミ・レ・ド」
- 「ド・レ・ミ・ソ」「ソ・ミ・レ・ド」
- 「ド・レ・ミ・ソ・ミ・レ・ド」
- 「ド・レ・ミ・ソ・ラ」「ラ・ソ・ミ・レ・ド」
- 「ド・レ・ミ・ソ・ラ・ソ・ミ・レ・ド」
◼︎定番のフェイク
- ドーレミレー
- レーミレドー
- ミーファミレファミー
4.ブルースペンタトニックスケール
◼︎マイナー
ラドレミソラ
◼︎メジャー
ドミbファソシbド(ラドレミソラをそのまま三音移動)
◼︎コード進行
Am | G | F#m7-5 | F E7
◼︎キー
男性 : G#
女性 : D
◼︎上昇
- ラー(Am)
- ラドー(G)
- ラドレー(F#m7-5)
- ラドレミー(F E7)
- ラドレミソー(Am)
- ラドレミソラー(G)
◼︎下降
- ラー(Am)
- ラソー(G)
- ラソミー(F#m7-5)
- ラソミレー(F E7)
- ラソミレドー(Am)
- ラソミレドラー(G)
- ラソミレドラソー(F#m7-5)
- ラソミレドラソミー(F E7)
5.変化させることができる要素
- 長さ
- タイミング
- ボリューム
- トーン(音色)
- リズム
C.グロール
1.グロールとは
口蓋垂が擦れた音を使って出す歪みの一種です。
グロールを使った歌唱法をグローリーボイスと呼ばれます。
2.使用例
「シャボン玉/モーニング娘。」
Christina Aguilera
3.練習方法
①口蓋垂トリル
リップロールやタングトリルと同様に、口蓋垂を震わせて音を出します
- 「ガ」と言う寸前で止める(口蓋垂と舌がくっ付いていることを確認)
- 止めた状態をキープしたまま口を閉じて息を流す
- 鳴った音を鼻に集中させる
②G・B・Zで練習
ガ・バ・ザ行で口蓋垂を鳴らしながら発声
③フレーズ練習
グロールを部分的に使って歌ってみる
D.ヒーカップ
1.ヒーカップとは
声を一瞬ひっくり返す、90年代のロックシーンで流行っていたテクニック。
2.使用例
「ultra soul/B’z」
3.練習方法
◼︎語尾
- 地声で「アー」と声を伸ばして途中で切る
- 声を切るときに余った息をすぐに吐く(ブレスアウト)
- 声を切るときに裏声に一気にひっくり返す(裏声の音程は一切気にしない)
- 【1】の後に【2.3】を同時に行う
◼︎フレーズ始め、途中
- ヒーカップを入れたい場所の前に息を止める
- 【1】の後にひっくり返した裏声を出す(裏声の音程は一切気にしない)
- 【2】の途中で地声を発声
E.エッジボイス
1.エッジボイスとは
声帯を閉じながら発声すること。
喉の奥でコポコポと空気を出しながら「あ゛あ゛あ゛あ゛」と発声します。
「ボーカルフライ」とも呼ばれ、ボイストレーニングの一種として使われています。
2.使用例
「魔法って言っていいかな?/平井堅」
3.使用可能な場所
◼︎フレーズ始め・途中
エッジボイスを続けたまま発声
F.シャウト
1.シャウトとは
声帯の音、仮声帯の音が同時に鳴った二重声。
シャウトにもJPOPで軽く使えるものからデスボイスなどの強力なものまで様々なジャンルがあります!
2.使用例
「あの日のスウィートメロディ/C&K」
3.練習方法
- 咳払い
- 呼気圧をかけていく
- 声を伸ばす
4.フレーズ練習
シャウトを部分的に使って歌ってみる
G.しゃくり(ポルタメント)
1.しゃくりとは
少し下の音から本来の音へ滑らかにしゃくり上げるテクニック。
音程を滑らかに繋ぐことをポルタメントと呼びます。
2.使用例
「抱きしめたい/Mr.Children」
「奏/スキマスイッチ」
3.練習方法
- しゃくりを入れたい部分を決める
- その音程から少し下の音程から歌い始める(2度下からがハマりやすい)
H.こぶし(ベンド)
1.こぶし(ベンド)とは
元の音から一瞬だけ音を上げて戻す、もしくは下げて戻す。
ギターとかでは有名なテクニックですが、ボーカルでもよく使用されます。
2.使用例
「貴方の恋人になりたいのです/阿部真央」
サビの「一緒に花火を見たいです」の「た」の音
「月と月/城南海」
一瞬だけ裏声を入れて戻すスタイルを、民謡では「グイン」と言います。
「愛をこめて花束を/Superfly」
後奏のフェイクでは、3回連続でベンドしているのが確認できます。
ベンドを連続で何回もやるとビブラートになります。
3.練習方法
- こぶしを入れたい場所を決める
- その音程から上げて戻したり下げて戻したりする
- ゆっくり→スピードを上げて練習
I.フォール
1.説明
本来の音よりも低い音にずり下げていく。
「フォール(fall)」には「下落・下降」という意味があり、ロックやビジュアル系バンドの楽曲において、特に各小節の終わりなどで、よく使用されています。
使用例
「終わりなき旅/Mr.Children 」
同じようなメロディーの箇所で何度も使われるのではなく、一番強調したいところで効果的に使用しています。
「Without You/Mariah Carey」
フェイクなどの色んなテクニックと混ぜて使用しています。
3.練習方法
フレーズの終わりなどで、元の音の高さから一気に音を下げる。
ため息混じりにしながら音程を少し下げるようにフォールを入れると、切なさや嘆きが歌に生まれます。
I.クレッシェンド&ディミヌエンド
1.クレッシェンド&ディミヌエンドとは
クレッシェンド = だんだん大きく
ディミヌエンド = だんだん小さく
ビブラートと並行して使うことで声に抑揚をつけることができます!